IT系人材営業のSES営業ってどんな仕事をするの?現役SES営業で年収1,000万円以上稼いでいる筆者が実体験の元SES営業の裏側を徹底解説します!

SES営業

SES営業ってなんだかいろいろとブラックな噂を聞くけど、実際のところどうなの?

今回は、このような疑問にお答えしていきます!
SES営業は、わかりやすく言うとプログラマーやSE等IT系の人材を顧客企業に提供する仕事をします。
コンプライアンス面など様々な問題はありますが、仕事自体はメールと電話、WEBミーティングツールのみで完結でき、企業によってはフルテレワークで行うことができ、また、インセンティブにより高収入を狙うことができます。また、基本的に顧客はカレンダー通りに休んでいるため、SES営業もカレンダー通りに休め、ワークライフバランスも取りやすいです。
世間的にあまり知られていないこともあり、悪い印象が先行しておりますが、人材を扱う仕事の中では間違いなくトップクラスの良い環境で仕事を行えるでしょう。

今回は、そんな世間的にはあまり知られていないSES営業について、筆者の実体験をもとに詳しく解説していきます。

この記事を読んで得られるもの

SES営業の仕事内容について理解できる
SES営業の今後について理解できる

この記事の作成者

✅異業種から人材業界に転職し、年収1,000万円以上稼ぐ(現在も継続中)
✅人材コーディネーターとして、3,000人以上の転職支援を行う

以上の経験から、実体験をもとに人材業界の実態や転職に成功する方法や失敗する方法等、生の情報をお伝えすることができます!

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SESとは?

「SES(System Engineering Service)」は、ITの専門家であるシステムエンジニアやネットワークエンジニアを、他の企業に協力させるサービスです。

このサービスは一見「派遣」と似ていますが、実は違います。SESでは「準委任契約」という特別な契約を使います。この契約のもとでは、エンジニアの仕事の指示は、エンジニアを提供する会社が行い、依頼する企業はそれに関与しません。また、エンジニアの給料は、作ったものによるのではなく、働いた時間に基づいて支払われます。

ITの世界が今後も成長し、専門家が不足すると予測される中で、SESサービスの重要性はますます高まるでしょう。

濃口リクルーター
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SESの営業は、今説明した「準委任契約」でエンジニアを提供することはもちろんのこと、自社のエンジニアを「派遣契約」で提供する仕事も含まれます。

SES営業の目的

SES営業は、何を目的として仕事を行っているのでしょうか?
ここでは、よく企業のサイトに載っているような「名目の目的」と実際にSES営業として働いている人が求めている「実質的な目的」に分けて解説していきます。

【名目の目的①】顧客企業にエンジニアを提供し、労働力不足を解消する

日本はエンジニアが不足しており、2030年には必要量に対して約79万人も不足すると言われております。SES営業は、そんな各企業のエンジニア不足の解消に役立つサービスを提供し、世の中を支える存在となることが目的となります。

【名目の目的②】エンジニアに仕事を紹介することで、エンジニアのキャリアを支える

エンジニア不足が深刻であるとはいえ、エンジニア自身で仕事を探すことは、かなりの手間となります。SES営業は、そんなエンジニアのキャリアを形成する役割も持っております。むやみやたらと案件の紹介をするのみでなく、しっかりとエンジニアとコミュニケーションをとったうえで意向を理解し、その意向にあった案件を探し、参画させていきます。

【実質的な目的①】 エンジニアを欲している企業とエンジニアをマッチングさせて、利益を稼ぐ

SES営業は当然ボランティアで行っているわけではありません。一人のエンジニアを顧客企業に紹介すると、自社社員や他社社員かにもよりますが、平均してひと月あたり5万円~30万円ほどの粗利が発生します。その粗利をいかに多くとるのかが、そのままSES営業の価値となっているのです。

【実質的な目的②】1日でも長くエンジニアを稼働させ、利益を多く得る

エンジニアを顧客企業に紹介した後は、契約が続く限り自動的に報酬を得続けることができます。そのため、顧客やエンジニアのフォローをしながら、1日でも長くエンジニアを稼働させ、利益を多く得るということが非常に重要となってきます。

濃口リクルーター
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上記のようなビジネスモデルのため、(営業にとって)優良なSES企業では、エンジニアが稼働している限り毎月利益の一部をインセンティブとして還元してくれる積み上げ式のインセンティブ制度を採用しております。その制度の場合、契約を取ればとるほどどんどんインセンティブが積みあがっていくため、大きく稼ぐことができます。

SES営業が扱うエンジニアの種類

続いて、SES営業が扱うエンジニアについて解説していきます。通常の派遣業界ですと責任の所在や労働者の給与が不当に低くなることを防ぐため二重派遣が禁止されており、扱うエンジニアは自社のスタッフのみとなります。ただ、SES営業では、準委任契約という契約をもとに、自社社員のみならず、パートナー会社の技術者を客先に紹介することも多々あります。(パートナー会社を通称BPと呼びます)
以下に詳しく解説していきます。

自社社員(プロパー)

SES業界では、自社社員のことを「プロパー」と呼びます。「正しい、本来の」などの意味をもつ英語“proper”から転じた和製英語まじりの言いまわしで、いわゆる「生え抜き」の社員や正社員のことを指す、日本の企業社会特有の表現です。
プロパーを元請けのSierやエンドユーザーに派遣契約または準委任契約で紹介することが、この業界の王道となります。

フリーランス(直個人)

自社と直接の契約をしているフリーランスの紹介も、多く行われます。SES業界では、基本成果物ではなく何時間働いたかといった労働力の提供をしているため、社員のように縛られて働きたくないフリーランスの働き方と合っている部分が多く、多くのフリーランスが稼働しております。
フリーランスの難点としては、会社とフリーランスとの間に雇用関係はないため、顧客企業と派遣契約を結ぶことができず、案件の選択の幅はプロパーと比べて狭くなってしまうことがあげられます。

他の企業の社員もしくはフリーランス(BP要員)

SES業界では、他社(BP)のエンジニアを稼働させるといったことも行われます。特に昨今のエンジニア不足の世の中では、自社でエンジニアを採用することは非常に骨の折れる仕事です。そのため、プロパーだけで賄おうとすると、せっかくお客様から案件をもらったのにもかかわらず人員の紹介ができないといった機会損失を起こしてしまう可能性があります。
そういったときに助けとなるのが、BP要員です。BP要員の営業は、エンジニア不足で困っている顧客の労働力不足の解消や、仕事が無くて困っているエンジニアへの就業機会の提供など、あらゆる面で世の中に貢献しております。
ただしその一方、BP要員の営業には、本来は顧客からの作業指示を受けてはいけないのに実質作業指示を受けている偽装請負や、中間マージンだけ搾取してあとは何もしない中抜き業者等、コンプライアンス上の問題は多く含まれております。

SES営業の主な顧客

SES営業の主な顧客について解説していきます。SES営業の顧客は、大きく分けて「エンドユーザー」「SIer」「同業他社」に分けられます。

エンドユーザー

実際にシステム開発を依頼して、使用する企業です。主なエンドユーザーは、官公庁や携帯キャリア企業等があげられます。エンドユーザーは基本労働力ではなく「システム開発や運用などの事業」として依頼することが多いため、SES企業が直接エンドユーザーに人材を紹介するといったケースはごくまれです。

SIer(システムインテグレーター)

SIer(システムインテグレーター:SIerは「エスアイヤー」と読む)とは、システム開発や運用などといった一連の事業を請け負う企業のことを指します。例えば、エンドユーザーから「顧客管理をするシステムを作ってほしい」といった依頼が入った場合、労働力ではなく、「その顧客システムを完成させる」といった成果を提供することを目的としております。
ただ、その成果を達成させるためには当然労働力が必要となってきます。SIerの自社社員のみで賄えればいいのですが、昨今のエンジニア不足からなかなかそうはいきません。そこで必要となってくるのが労働力を提供する「SES企業」です。SIerで賄いきれない労働力をSES企業から調達し、エンドユーザーの依頼にこたえるのです。。

SIerの例としては、富士通、NEC、NTTデータ、日立製作所などがあげられます。

同業他社

同業種のSES企業も、顧客となりうる場合があります。先ほどお伝えした通り、SIerはSES企業から足りない人材の調達を行います。ただし、その人材の供給元のSES企業もまた、人材不足で供給ができない場合もあります。そのような場合、SES企業は他のSES企業から人材を借りて供給するといった形を取ります。同業他社がライバルでもあり顧客でもあり、人材の供給元でもあるといった非常に奇妙な構造をしております。
ただし、このような構造から、本来は禁止されている実質的な二重派遣となってしまう等、コンプライアンス的な問題が多発している状況を作ってしまいます。

SES営業の仕事内容

つづいて、SES営業の仕事内容について解説していきます。SES営業の仕事は、その企業のスタイルにもよりますが基本的にメールと電話、WEBミーティングツールのみで完結できます。

顧客企業とエンジニアのマッチング

多くのSES企業は、大体数百~数千ほどのパートナー企業とのつながりがあります。それぞれの企業は募集中の案件の情報や仕事を探しているエンジニアの情報を「配信」といった形で日々同業者にメールで流しております。
例えば、案件の配信ですと
「●●の開発案件で、〇〇月からJAVAの開発経験3年以上ある方、単価60万/月で探しています」
要員の配信ですと
「●●月から稼働できるJAVAの開発経験3年ある技術者を単価60万/月で営業しております。詳しいスキルは添付のスキルシートをご参照ください!」
といった形になります。※実際はもっと詳細情報が記載されております。
そのため、メールボックスには毎日数千~数万通ものメールが届く形となり、基本的にはその中からエンジニアと案件をマッチングさせます。まず最初の仕事は、流れている案件と、それに見合った技術を持っているエンジニアを見つけ、提案することです。

濃口リクルーター
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メールで流れている情報は、多くの同業他社も得られている情報のため、メールで得られる情報を機械的にマッチングさせてもなかなか次の段階には進めません。大事なのは、顧客との関係地を作り、独自の案件や要員の情報をもらえるようにすることです。

面談対応

案件もとに合った人材を紹介できたら、実際に案件担当者とエンジニアの面談を設定します。ここで、案件担当者から案件の説明や、エンジニアに対してスキルについての質問をし、エンジニアは質問に対する回答や、案件についての質問をします。
案件側は、実際に案件に参画をして活躍できるのかといった点を、エンジニア側はその案件が参画しても問題のないものなのかを確認します。
営業の仕事としては、面談に同席をし、司会進行やエンジニアのフォロー、面談終了後の顧客との対話を行います。
面談は、コロナ以前は基本客先やカフェなどに出向いて行っておりましたが、コロナ以後は9割以上ZoomやGoogle meetなどのWEBミーティングツールを使用して実施されます。

契約手続き等書類対応

面談を行い、無事顧客からも参画依頼をもらい、エンジニアもその案件へ参画したいとなりましたら、契約手続きを行います。
契約手続きは、まずは簡易的にメール本文で案件名や初回契約期間、単価、清算幅、清算単位、支払いサイトなどの条件のやり取りを行い、エビデンスとして残します。
諸条件が問題なければ見積書対応や顧客先提出書類の対応、注文書対応なども行います。初めて取引する企業とは、基本契約書とNDAの締結も併せて行います。

契約更新の確認

契約は基本単月~3ヵ月単位で更新していきます。業界ルールとして、契約終了日の1か月前までに、契約の更新の有無を確定しなくてはいけません。(仮に契約が9月30日までの場合、8月31日までに10月以降の延長の可否の確定が必要)そのため、月末は比較的忙しくなる傾向にあります。

エンジニアのフォロー

特にプロパーを扱う場合、エンジニアのフォローも非常に重要な業務となってきます。現場での困りごとがないか、体調が悪ければ体調面は大丈夫か、今後どのようなキャリアを歩んでいきたいかなど、エンジニアに1日でも長く働いてもらえるよう、しっかりとフォローしていきます。

トラブル対応

エンジニアを紹介した後も、あらゆるトラブルが発生します。多いトラブルとしては、エンジニアのスキル不足や勤怠不良による顧客からのクレーム、顧客側の管理体制が整っておらず、エンジニアの稼働時間が上がってしまうなどといった事象があげられます。
特に困るのは、エンジニア起因により発生したトラブルで、顧客から契約期間中に途中解約させられるといった事態や、成果物が伴っていないため、単金を支払わないと言われるような事象です。
そのような際は、顧客の意見を聞きながらも、根本的な原因(本当にエンジニアだけの問題か?顧客側にも問題はなかったのか?)を突き詰め、理路整然と対応し、契約を守らせる方向に持っていくよう話を進められるようにするといいでしょう。

SES営業のワークライフバランス

続いて、SES営業のワークライフバランスについて触れていきます。

多くの顧客企業がカレンダー通りに休むため、人材業界の中では比較的ホワイト

多くの顧客企業がカレンダー通りに休むため、SES営業も基本カレンダー通りに休暇を取ることができます。残業時間については、業務後に面談の対応が入ることが多く、面談設定時間によっては20時や21時くらいまで業務を行うこともあります。
しかし、扱う人材がITエンジニアといった、ある程度教養のある人材のため、製造業や日雇いなどと比べたらトラブルは少なめで、他の人材業界と比べたら精神的負担は少なくてすむ傾向にあります。
それらのことから、SES営業は、他の人材業界の営業と比べたら比較的ホワイトと言えるでしょう。

まとめ

SES営業という言葉はあまり聞きなれない言葉かもしれませんが、簡単に言うとIT系人材の派遣(正確には準委任契約が多い)営業と考えればいいでしょう。
仕事内容はコンプラ問題やトラブルの対処等大変な部分もありますが、この先益々世の中から必要とされるIT系人材を扱うため、業界的な未来も比較的良好と言えるでしょう。
また、SES営業を人材業界とするなら、他の人材業界と比べても比較的ホワイトのため、人材業界を検討している人はひとつの選択肢に入れてもいいでしょう。

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